今回紹介するのは、ベトナム人民軍のAK用チェストリグです。
このチェストリグはベトナム戦争中、もしくは1980年代までのいずれかの時期に作られた物と推測されます。
デザインは中国人民解放軍の56式チェストリグを模倣した物です。
古いベトナム製装備品に見られる、ちょっと頼りないほど薄手で柔らかい生地が使われており、肩ひもの端末処理、サイズ調節金具等は省略されており、より簡単な造りにアレンジされています。
マガジンポーチ及び小型ポーチの蓋は、木製のトグルボタンで留めるタイプです。
生地が柔らかい為、蓋を留めておかないと、姿勢によっては収納したマガジンが滑り落ちてしまいます。
肩ひものサイズ調節は、リグ側の板紐ループにストラップを通し、そのまま適当な位置で結んで留める作りです。
コピー元の中国製に比べ、構造が簡略化されています。
ポーチにマガジンを収納した状態です。
画像では伝わりにくいですが、生地の薄さと柔らかさは耐久性に不安を感じる位で、軍装品としては頼りない印象です。
四か所設けられている小型ポーチも、中国製に倣ったサイズと構造になっています。
詰め物として適当な梱包材を用意してみました。
バラ弾の包みを模した物ですが、ちょっと長方形過ぎたようで、このままだと脱落しそうですね。
チェストリグ背面の様子です。
肩掛けストラップの端末処理の状態です。
肩ひもはチェストリグ上部にしっかり縫い込まれています。
腰ひもの構造も中国製をそのままコピーした作りです。
チェストリグ裏面、端のほうにタグ・スタンプがありますが、残念ながら製造年は確認出来ませんでした。
中国製との比較です。
デザインを模倣しているのが良くわかります。
やはり素材の違いは明白で、実際に使われた個体では、早期に損耗してしまったのではないかと想像できます。
腰に回す締め紐の幅や長さもほぼ同じで、模倣品であることが明瞭に見て取れます。
中国製では肩掛けストラップを通す金具があるところ、ベトナム製では単純に板紐同士を結ぶ作りで、金属部品を一切使わない構造に省略されています。
ベトナム製の他の装備にも共通して言える点ですが、使われている布地が柔らかく、コシが無い(エッジが立たない)印象が強いです。