ソ連軍のAK-47用マガジンポーチの実物中古品です。
このマガジンポーチ、というかマガジンバッグは、ソ連軍でAK-47が採用された当初に導入された装備品で、AK-47用マガジンポーチとしては最初期のモデルです。
ソ連軍の軍人向け図説資料においては“1952年型”と言った位置づけのようです。
調べた限りでは、「AK-47 Ⅱ型」まで付属品として記載されており、よく知られる量産・普及型の「AK-47 Ⅲ型」からは一般的に知られるマガジン3本収納タイプに変更されています。
3本収納タイプとのデザイン上の一番の違いはショルダーストラップが縫い付けてある点で、重いマガジンを収納した際の負担軽減を考慮衣した設計です。
また、側面に銃手入れ用品を入れるポケットが設けてある点は、のちの普及型にも受け継がれています。
装備品としては、かなり短命に終わったアイテムと思われますが、このタイプのデザインは、ソ連軍よりも同盟諸国への供与品からの発展形として、他の国々で似たデザインの装備品が使われている印象が強いです。
使われている素材は分厚い幌布で、非常に頑丈に作られています。
ショルダーストラップとベルトループで携行します。
側面は、AK-47のマガジン形状に合わせて湾曲した裁断がされています。
片側の側面にポケットが設けてあります。
蓋留めの革タブを留めるボタンがカーキ塗装の金属製なのが、ソ連製オリジナルの特徴らしいです。
装備ベルトに吊るためのベルトループは幅のあるコットン織りで強度が確保してあります。
ベルトループの幅は余裕があり、ソ連軍装備ベルトのバックルも余裕で通せます。
ポーチ上面の形状です。
ショルダーストラップの縫い付け位置がわかると思います。
ポーチ底面の形状です。
内部の間仕切りの縫い目が確認できます。
ショルダーストラップは黒染め仕上げの鉄製金具と革製の游環でサイズ調節できます。
後の普及型マガジンポーチではショルダーストラップは廃止されます。
恐らく装備体系に重装サスペンダーが導入されたのが理由と思われます。
側面上側の細長いポケットには、AK-47に付属するクリーニングツールキットを収納します。
実際に収納してみました。
サイズ的にもぴったり収納できます。
クリーニングツールキットは、リアルソード製電動ガンの付属品で代用しましたが、サイズや作りが実物とほとんど同型なので違和感はありません。
側面下部にあるポケットには、銃手入れ油缶を収納します。
金属製の丸型オイラー缶を収納してみましたが、綺麗に収まります。
使用したのはソ連製実物(推定)の金属製オイラー缶です。
後にプラスチック製の四角いオイラー缶が登場し、一般化しました。
マガジンポーチの蓋は革製のバックルベルトで閉じられます。
蓋は外側と内部の二重構造になっています。
素早い取り出しよりも中身をしっかり保持する事を重視した作りです。
中蓋は針金製のフックを引っかけて留めてあります。
留め具は制服の襟ホックのような形状です。
中古品の為、鉄製の金具は錆びてしまっています。
同様の構造の中蓋は、RPD分隊機関銃のマガジンポーチにも見られ、ソ連軍装備品の特徴のひとつと言えるでしょう。
ショルダーバック式の内部は仕切りが設けてあり、AK-47用マガジンを5本収納できます。
類似の構造のマガジンポーチは、様々な素材やデザインのアレンジでソ連と関係の深い国々で使用されており、思いつくだけでも中国、ベトナム、ハンガリー等に見られます。