中国人民解放軍(略称:PLA)の「06式通用単兵携行具(MOLLEシステム・ベスト)」です。
「06式通用単兵携行具」は、現在のPLAの主力個人装備であり、陸・海・空・全軍の地上部隊で運用されています。
迷彩柄は陸軍夏期迷彩である「林地迷彩」柄の物が基本で、その他各種迷彩柄の物もあるようですが配備数は少ないようで、映像で確認できる物は着用している迷彩服の色に関わらず、殆どが林地迷彩柄です。(林地以外の迷彩柄は、部隊単位で発注した物が多いようです)
2019年の軍事パレードで新たに「星空迷彩」の各種装備品が公開されましたが、まだまだ全軍に普及するには時間がかかる為、当面はこの装備品が使われ続けると思われます。
通用携行具を構成する各装備品を装着土台となる、「戦闘携行背具(ベスト)」です。
米軍装備と同じMOLLE規格のパルステープが等間隔で配置され、任意の位置に装備品を組み付ける事が出来ます。
ベストの外見は、ほぼ米軍のMOLLEベストのデッドコピーです。
このベスト限らず、PLAの現用装備は、米軍装備の後追い感が強く感じられます。
ベスト背面にはサイズ調節コードがあり、身体へのフィット感を調節できます。
装備ベルトにあたるパーツは、ベストの下端に縫いこまれています。
旧式装備のように着脱は出来ませんが、身体へのフィット感は向上しています。
サイズ調節して余ったベルトは、ベスト内部に押し込んで端末処理します。
このように見た目にもすっきり収納出来ました。
ただ、すべすべした柔らかいナイロン製のため、いつの間にか抜け出てきて、だらりとぶら下がった状態になってしまいます。
背面はストラップでH型サスペンダーのようにサイズ調節可能です。
身体を覆う部分が少ないぶん、通気性も期待できます。
背面は全面に防水加工が施されており、機能性に配慮されています。
縫い付けられたナイロン製のタグには「戦闘携行背具」の記述と、装備品の取り付け方法が記載されています。
ベストはフィット感もよく、装備ベルトにあたる部分が一体型で外せない事もあってか、実録映像では装備品を取り付けず、ベストのみでの着用例も頻繁に見られます。
背面はサスペンダー式で空き部分が多く、着用した服に対しての通気性も良好で、夏期でも極端に不快に感じる事はありません。
前合わせはプラ製バックルで留める方式です。
肩部にもパルステープがあり、米軍装備のように小型ポーチを装着できます。
現場では小型無線機ポーチの装着例が見られますが、大体は何も付けていません。
「95式自動歩槍(自動小銃)」の銃剣に合わせて作られた「刺刀套(剣差し)」です。
剣差しの裏面にはパルステープ対応のMOLLEストラップがあります。
タグには「刺刀套・2012年製」の表記があります。
剣差しに銃剣を装着した状態です。
95式小銃以降のPLAの銃剣は、単体では装備品に装着できず、身に着けるには剣差しと組み合わせることが前提の構造をしています。
パルステープ対応のストラップは、必要ならば通常の装備ベルトにもベルトループの要領で取り付ける事が可能です。
通用携行具に装着すれば、がっちり固定されて行動の妨げにもならず、良く出来た装備だと思います。
通用携行具を構成する装具のひとつ「歩槍弾倉袋(マガジンポーチ)」です。
ベスト1着に付き、4個付属しています。
マガジンポーチは1本収納を前提とした作りです。
採用時期から類推すると、このポーチは「95式自動歩槍」と「03式自動歩槍」のマガジンの収納を想定したサイズで作られていると思われます。
裏面にはMOLLE対応ストラップがあり、ベストにもしっかり装着出来ます。
裏面下部には、「歩槍弾倉袋・2012年製」のタグ表記があります。
蓋はベルクロとドットボタンの2種類の方法で開閉できます。
米軍をはじめとする、現代装備に準じた近代的な作りです。
収納容積は、あまり余裕の無い作りです。
素材や縫製はしっかりしています。
95式自動歩槍の訓練用模擬銃(ゴム製)のマガジンを用意してみました。
模擬銃は軍事訓練用に使われている物なので、実銃に近い重さと大きさで作られています。
実際にダミーマガジンを収納してみると予想以上にタイトで、かなり苦労して押し込みました。
マガジンがラバー製のため滑りが悪いせいもあると思いますが、そもそもマガジンのカーブ形状に対してポーチ容量に余裕が足りない感じです。
サバイバルゲームでの使用を考えて、「56式自動歩槍(中国製AK-47)」の電動ガン用マガジンを収納してみました。
「95式」の5.8㎜弾に対して「56式」は7.62㎜弾で若干マガジンが大きいのか、やはり収納には苦労します。
マガジンチェンジに際して、素早い出し入れは困難だと感じました。
「双手榴弾袋(2連手榴弾ポーチ)」です。
ポーチ1個に手榴弾2個を収納できます。
ベスト1着あたり手榴弾ポーチ2個が付属するので、兵士1名につき4個の手榴弾を携行できます。
ポーチ裏面中央に「双手榴弾袋・2012年製」のタグ表記があります。
ポーチの蓋はドットボタンで開閉します。
ポーチ内部はシンプルで、従来の携行具のような手榴弾の安全レバーを差し込むスリット等も一切ありません。
この手榴弾ポーチは、木柄手榴弾と卵型手榴弾の両方に対応しています。
画像は「67式木柄手榴弾」を収納した様子です。
ポーチには木柄の部分を保持するベルクロ・ストラップがあり、しっかり固定出来ます。
ベルクロなので微調整が効き、脱落防止に十分役立ちます。
「82-2式プラスチック手榴弾」を収納した様子です。
82-2式プラスチック手榴弾は現在の人民解放軍で使われている主力手榴弾です。
米軍の手榴弾と比べるとひと回り小型で、ちょうど木柄手榴弾の弾頭と同じ位のサイズす。
「水壷袋(水筒カバー)」です。
裏面に「水壷袋・2012年製」のタグ表記があります。
水筒カバーは作りがしっかりしており、分厚い生地と硬い縁取りで、頑丈に出来ています。
水筒カバー内側はクッション性がある作りです。
水筒カバー底面のふちには、スポンジゴム状のクッション素材が見えます。
水筒カバー正面のバックルを外した状態です。
裏面にはMOLLE対応ストラップがあり、ベストに装着できます。
現用装備の「10式水壷」との組み合わせを試してみました。
制式採用年は06式携行具の水筒カバーの方が先ですが、10式水筒も問題なく収納出来ました。
次に、06式携行具の採用時に使われていた「87式水壷」の収納を試してみました。
時期的に想定される使い方ですが、結構収納に手間取りました。
主にカバーの作りの硬さが影響したようです。
多少手間取りましたが、収納は可能です。
使っていく内に馴染んでくると思われます。
同時期に併用されていた「78式飯盒水壺」です。
こちらは水筒カバーの形状に合わず、収納出来ませんでした。
「防毒面具袋(ガスマスクバッグ)」です。
旧式装備と比べると大型のバッグで、現用「FMJ」タイプのガスマスクを収納できます。
他の装具と同じく、MOLLE対応ストラップでベストに装着できます。
ガスマスクバッグの蓋は、上記のように展開します。
「FMJ-05防毒面具」を収納した状態です。
FMJタイプ・ガスマスクは「FMJ-05」「FMJ-08」などの種類があります。
画像は「FMJ-05防毒面具」です。
「65式防毒面具」と比較してガスマスク自体が大きくかさばるため、ガスマスクバッグも大型になっています。
ガスマスクバッグの内側には、防水コーティングが施されています。
「01式防毒面具袋」と並べてみると、サイズが大型化したことがよくわかります。
収納するガスマスクに合わせた物ですが、「65式防毒面具」が特にコンパクトな作りだったことも実感できます。
【商品紹介】
「中国人民解放軍 林地迷彩 タクティカルベスト」…01式単兵携行具の、林地迷彩バージョンです。06式の一世代前のタクティカルベストですが、入手可能な林地迷彩装備として紹介します。