中国のケブラーヘルメット ~ 中国人民解放軍 QGF-02 ヘルメット (実物)

中国人民解放軍の「QGF-02ヘルメット」です。

紹介する物は実物未使用品です。

 

 

「QGF-02」は人民解放軍初の耐弾繊維製ヘルメットで、諸外国同様、米軍の「PASGTヘルメット」の影響を強く受けたデザインです。

 

 

帽体の素材はアラミド繊維 (ケブラー) で、PASGTヘルメットをよく調査・研究し、より高性能であると公表されています。

 

 

「QGF-02」は1999年の記念パレードにて初めて世界に披露され、部隊配備が進められました。(1997年の香港返還時に使用された物は、形だけ間に合わせた「QGK-97スチール・ヘルメット」と推測)

 

 

採用当初は「87式迷彩服」の現役時代なので、同じ迷彩柄のヘルメット・カバー付きで支給されました。

 

 

迷彩ヘルメット・カバーの裁断は、ヘルメット形状に合わせて立体的に縫製された手間の掛かった物で、ヘルメットにぴったりフィットします。

 

 

コストを低く抑えるため、ヘルメットのサイズは1種類のみ(諸外国では3サイズ程用意されている事が多い)で、内装ハンモックと顎紐によりサイズ調節を行います。

 

 

ヘルメットの形状は、米軍のPASGTヘルメットに酷似しています。

 

 

中国軍事技術の努力により、高性能アラミド繊維により作られた「QGF-02」は、ケブラー製のPASGTヘルメットより高性能かつ、重量は軽く出来ています。(公称:約1.45kg)

 

 

ヘルメット・カバーを付けていない状態です。

 

 

ヘルメットの帽体は塗装仕上げで、塗膜の厚塗り感が目立ちます。

 

 

内装は旧式装備の「GK-80スチール・ヘルメット」と良く似た構造ですが、素材はナイロンを主体とした物です。

 

 

顎紐は3点支持型で安定感のある構造です。

 

 

鉢巻き部分のサイズ調節は、後頭部付近の金属バックルで行います。

 

 

汗止め鉢巻き部分と天頂部の保護パッドは革製です。

 

 

顎紐の着脱は、押しボタン式のバックルを使います。

 

 

バックルは自動車のシートベルトのような、堅牢な作りです。

 

 

顎の位置には汗止め用に革が縫い付けられているという、凝った作りです。

 

 

このあたりの構造を見ると、後にコストが高すぎる為に「QGF-03」に更新された理由も判る気がします。

 

 

顎紐は、帽体に直接ボルト止めされています。

 

 

3点支持型の顎紐で、装着時の安定感が判るかと思います。

 

 

帽体表面は塗装仕上げですが、米軍のPASGTヘルメットのようなサンドブラスト塗装ではない為か、近づいて見ると下地の繊維質の様子が垣間見えます。

 

 

「QGF-02」の全体の形状です。

 

 

ヘルメット本体は暗緑色で塗装されており、内装ハンモックや顎紐も同系色に統一されています。

 

 

2007年以降は、「07式作戦服」に合わせた各種迷彩柄のヘルメット・カバーが支給されました。

画像は陸軍の夏季迷彩である「林地迷彩」柄のヘルメット・カバーです。

 

 

先に述べたようにコスト削減に配慮した「QGF-02」ですが、それでも人民解放軍全軍のヘルメットを更新するには高価過ぎるとの判断により、性能を維持しつつ大幅なコスト低下を見込んで「QGF-03」ヘルメットが開発されました。

 

 

こちらは、陸軍の冬季迷彩である「荒漠迷彩」柄のヘルメット・カバーです。

 

 

「QGF-03」の正確な配備開始時期は不明ですが、概ね2003年~2004年頃から存在が確認出来ます。

以後は、「QGF-02」の新規調達は中止され、在庫分のみ消費されたようで、現在、使用されている状況を見ることは非常に稀です。

 

 

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