
ベトナム人民軍の戦闘帽「ムゥ・メーム」です。
今回紹介するの物はベトナムエキスプレス製のレプリカになります。

「ムゥ・メーム(以下、略帽と表記)」は、ベトナム戦争の頃から「ムゥ・コーイ(サンヘルメット)」とともにベトナム人民軍で使用されていた帽子です。

レプリカ品は製造メーカーやロットによって型や色に差異があります。
実物でもそうですが、今回入手したロットはカーキグリーンといった印象です。


内張りには全周に汗止めの合成皮革バンドが縫い付けられています。

略帽正面には、金属製のベトナム人民軍帽章が取り付けられています。

帽章はサンヘルメットに付属する物よりも一回り小型の略帽専用の物です。

取り付けもサンヘルメットのビス式ではなく、安全ピンで留める仕様です。

このレプリカは比較的厚手で硬めの生地と、正面およびつば部分に芯が入っており、かっちりとしたシルエットが特徴的です。

帽子の側面には、金属製の通気孔が設けられています。
このレプリカでは黒色塗装されていますが、ベトナム戦争当時の実物画像ではアルミもしくはブリキ製の物が一般的なようです。

略帽には顎紐が取り付けてありますが、完全に装飾であり、実用上の機能は一切ありません。

略帽にはサイズの調節機能はありません。
シンプルな作りは米軍のフィールドキャップを思わせます。




同型の略帽は、2003年制式の「K03軍服」の頃まで現役で使われていましたが、「K07迷彩帽」が採用され、普及している現在では、ほぼ目にすることはありません。


略帽を被ったベトナム人民軍下士官の着装例です。
時期的にはベトナム戦争中の北ベトナム国内部隊や、戦争後のベトナム人民軍に見られる格好です。

ベトナム戦争中の使用例は主に北ベトナム国内に多く見られ、越境部隊では環境もあってかサンヘルメットやブッシュハットが殆どです。
逆に、戦後のカンボジア駐屯部隊など、1980年代には多くの着用例が見られます。
